いつもありがとうございます。先日、金沢の石川県立美術館で点数は少なかったのですが、前田家に伝わった名物裂の小展示(1室だけ)を見てまいりました。書籍などでそれらの写真を見る事はあったのですが、実際に本歌を見てみると写真とは色味が大きく違い、しかも、古い書籍の写真が頭の中に残っているため、現物を見たときには非常に感動しました。たかが、布の切れ端ですが、現代の布とは違い、時代を経た渋さや落ち着きは他の絵画や美術作品と同様の感動をうけました。特に印象に残ったのは有栖川緞子で、会場には3点程度並んでいたと思いますが、昨今の有栖川緞子を見慣れている私にしてみたら本歌の有栖川緞子の"渋さ"はまさに「目から鱗」でした。斬新な抽象化されたデザインの文様は渋い色合いの中でこそ非常にマッチして見え、頭の中の「有栖川緞子」情報が全く改められました。昨今はネットも発達し、直接目にするものではなくても色々と詳細な視覚情報を得ることができますが、やはり直接見ることにより得る感動は人間にとって非常に大切なように感じました。ちなみに、前田家の名物裂コレクションは前田利常から始まった様子ですが、文化的に非常に高い意識と見識を持った殿様だったのだと改めて感じました。加賀の国を改めて見直した次第です。