暑さもやっと収まりかけてきたこの頃ですが、如何お過ごしでしょうか。
ご来店のお客様とお話しさせて頂くと、「年内の茶会が全て無くなり、お道具も目的がないとあまり買う気にならない」というお言葉が聞かれます。売る側としては、「なぜ、この安いタイミングで買っておかないのか?」と、思うことも多々あります。当然、茶道具店としても食べてゆくには必死になって道具を売らないといけないのですが、商売人としてよりも茶人として「なぜこのチャンスに買っておかないの?」と思う事が非常に多くなりました。茶会が自粛されている昨今の状態はどの小売店においても道具が売れず、やむを得ず値段を下げてでも回転・換金させようとしており、買う側にとっては今が買い時であるのは間違いございません。それと同時に茶道人口の低下により教室をやめてお道具を手放される方もいらっしゃいますが、茶会が自粛されている今はとても相場が安くなっているのです。ですので、直感が働いて欲しくなった道具以外に、お稽古や茶会に必要なお道具こそ今、お揃えになるべきかと存じます。また、こうした状況は職人さんにも多大な影響を及ぼしており、仕事がなく廃業する方もいらっしゃいます。茶道具の修理や小物類の調達に関しても苦労する時代になってきましたが、伝統を守りつつ困難な時代に即した方法も模索しなければなりません。誰も経験したことのない状況ですから皆でアイデアを出し合う、情報交換しあうことによりベストな方法を考えなければなりません。皆様におかれましてはコロナ対策を万全にしてお稽古を再開されていると思いますが、「お茶を始めよう。」「始めたい」と思うきっかけについても今まで以上に未経験の方に提供したいものです。話は変わりますが、最近見たドラマで眉目秀麗な役者さんがお茶を点てているシーンがありましたが、演技指導されている先生がきちんとご指導されているためか、見ていてとても凛々しいものでした。人がいて道具があって動きがあって全てが揃って成せるものだと思いますが、そうしたシーンを見て"お茶をやってみたい"と思われた方は多少なりともいると思います。ドラマに伝統文化のシーンを、しかもそれらの所作をいい加減にしないで頂けるドラマ製作者の方には敬意を表すと共に、応援したくなります。茶道点前の番組などは茶道に興味があって初めて見るものですが、ドラマのワンシーンなどは茶道に興味のない人でも見ます。また、それがきっかけとなって茶道を始める人もいる事を考えると茶道啓蒙の意味からともありがたいものだと感じます。
文章が長くなってしまいましたが、茶道人口の低下に反して茶道がますます賑わうように何かしたいものです。